20221013

今日観た映画:アンティ・ヨキネン『魂のまなざし』(2020)

 ひとりでいい休日を過ごすのが上手すぎないか?という具合にいい休日を過ごせました。

 昨日は遅番のシフトだったにも関わらず、観たい映画のために朝から起き上がる。『魂のまなざし』はフィンランドの画家、ヘレン・シャルフベックの生涯を描いた作品で、恥ずかしながら彼女のことは知らなかったけど映画は前から気になっていた。1900年代前半という時代背景もあって、ガチガチに男尊女卑な価値観を持つ兄とそれに加担するヘレンの母親にかなり腹が立った。画家をテーマにした映画なだけあって、田舎でも都会でも海でも部屋の中でも、映像がとても美しい。愛は恋愛だけじゃないし、創作することや生きることの活力になる。いつか彼女の原画を観れる機会があったら観にいこうと思った。ヘレンの自宅の内装がこの前訪れた国立の台形みたいで、一緒に行った友人に教えたくなった。

 今日は思いの外暖かく、せっかく午前中から活動してるのに家にいるのはもったいないなと思って、週に3日だけ開いているパン屋さんまで歩いた。母がここのパンを度々買ってくるので食べたことはあったのだけど、初めて訪問することができた。母がよく買ってきてくれた、噛みごたえのあるハードなパンにあんことバターがたっぷり挟まったあんバターサンドと、ハーブのきいたベーコンエピが特に好きなのだけど、残念ながら今日はどちらも売り切れていて、イチジクのパンとオレンジとチョコのパンなどを買って帰った。また散歩がてら買いに出かけてあんバターのリベンジがしたい。

 パン屋さんからほど近いコーヒー屋さんが、いつもなら定休日の木曜だけど今日は営業しているというので行くことにする。気まぐれで作ったというカカオの効いたスコーン(ここでやっと今日初めての食事)と秋のブレンドのコーヒーを片手に、持ち歩いていた本・植本一子さんと滝口悠生さんの往復書簡「ひとりになること 花をおくるよ」を読み終えた。これは植本さんと滝口さんの文字通り往復書簡なのだけど、手紙の中でそれぞれの家族(親・パートナー・そしてお子さんのこと)について書かれていることが多くて、わたしも自分の家族のことを自然と思い出しながら読んだ。
 わたしの母は思ったことを(家では)たくさん喋る人で、一緒に暮らしていれば朝ドラの感想から職場の愚痴までたくさん聞くけど何か書くような習慣はなくて、反対に父はそんなにお喋りするタイプではなく、書く習慣のある人でもう何十年も毎日日記を書いている。5年日記にずっと書き残していて、書き終えたものがおそらく5、6冊はあるから30年くらいは書いてるのだろうか。他にも10年以上聴き続けているラジオ番組があったり、休みの日でも欠かさず早起きしたり(どんなに遅くても朝5時半前には起きているので、私たち家族は早く起きなきゃいけない日に安心して父にモーニングコールを頼めた)、父はわたしの知る中で継続する才能が一番ある人だと思う。あまり遺伝はされなかったようで、わたしは何かを継続するのがとても下手だけど。わたしはどちらかといえば父と似た種類の人間で、妹は母に似ているように思う。そんなことを少し思い出した。

 植本さんの小6の娘さんがひとりでヤンニョムチキンを作ってくれて驚いた、という記述があって、そのことを植本さんは

「食べたいというエネルギーをちゃんと形にしているたくましさに希望を感じます。」

と書いていたのがとてもいいなと思って、わたしも料理をすることで、食べたいというエネルギーをちゃんと形にしていこうと心に刻み、今日の晩御飯のメニューを考え必要な材料をその場でリストアップした。
 ここのコーヒー屋さんの焙煎担当の方が映画館によく来てくれていることを知っていたので、「いつも映画観に来てくれますよね…?」とお声かけしてやっとお話できた。よかった。わたしの顔もどこかで見たことあると思っていたらしい。「またすぐ来ますね」と最後に話してコーヒー屋さんをあとにした。

 今の部屋には冬服が全然ないので、服を取りに誰もいない実家に帰った。冷蔵庫を開けたらシャインマスカットが鎮座していたので、ありがたくつまみ食いする。服を詰めたデカ箱を持ってバスに乗り、デカ箱を持って商店街を堂々と歩いていると上司に会ってしまいちょっと恥ずかしかった。

 コーヒー屋さんでリストアップした買い物を済ませ、タイムフリーでSixTONESANNを聴きながらパスタ入りのトマトクリームスープを作った。わかってはいたけどやっぱり作りすぎた。ちょうど今日シェアハウスの空き部屋に新しく引っ越してきた方がいて、「もし夜ご飯がこれからなら、よかったら食べてください」と声をかけてみたら一緒に食べてくれたので嬉しかった。いろいろ話す機会にもなってちょうどよかったかも。シェアハウスに住んでもうすぐ2ヶ月くらい経つのだけど、未だに人見知りを発揮しちゃってあまりルームメイトと距離が縮まってる感じがないので、近々日が合えばみんなでお鍋でも食べたいなと思っている。寒くなってきたし。

 あまりに充実したいい休日だったせいか、珍しく食事のことを完全に忘れていた。いつもはお腹が空くと食事のことしか考えられなくなるのに。朝ごはんは食べてないし、他はコーヒー屋さんで食べたチョコのスコーンと夜ごはんのスープパスタとお昼に買ったパンだけだった。もともと少食なほうなので、これくらいがちょうどいいのかもしれないけど。食べたいというエネルギーをちゃんと形にすること(=料理)は楽しい。でもお腹が空いているときにスーパーに行っちゃうと、必要のないものまで買ってしまうので良くないですね。気をつけます。