20230623 映画と触覚

・昨日で上映が終わった作品のパンフレットの返品作業をする。『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』も昨日までの上映だったので、返品用に包装しながら、改めてその触り心地の良さを思った。大島依提亜さんの手がけるパンフレットはどれもそうで、表紙のデザインの良さだけでなく、紙質にもこだわっていることが少し触れてページをめくっただけで分かる。最近だと『怪物』のパンフレットとかもそう。表紙はざらざらした手触りの厚紙で、中面ではインタビューやコラムなどの文章のページと劇中写真のページとでまた触り心地や厚みの違う紙が使われている。というように、触れることでより楽しめるような素敵なパンフレットばかり。だから最近のわたしは、大島依提亜さんが手がけているパンフレットに出会うと買いがち。そもそも依提亜さんがパンフレットやポスターのデザインを手がけている作品には良作(A24の作品とか)が多いというのもあるけど。

映画を観ることって、観る環境(映画館で観るのか、あるいは自宅などでDVDや配信を観るのか)がどうであれ、視覚と聴覚と思考の体験なので、何かにさわるとか、触れるという感覚が起こることってほぼない。あるとしても、それは観ながら座っている椅子の素材や座り心地だとか、食べているキャラメルポップコーンの手触りだとか、ちょっとした手の痒みみたいな、そういうことばかりで作品そのものには起因しないことがほとんど。もし作品に連動して起こるとするならば、パンフレットに触れることくらいなのかなと思う。そう考えたときに、依提亜さんがここまで素材にこだわるのも頷けるし、それは映画への愛ゆえなのかなと思った。
特に『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』については、タイトルからも分かるように、登場人物がぬいぐるみに触れる場面がとても多いから、観ながらぬいぐるみの触り心地を思い浮かべることもごく自然なこととして起こる。依提亜さんのデザインしたこの作品のパンフレットの背表紙には、おそらくぬいぐるみの触り心地を意識したと思われるフェルトのような生地のタグが付いていて、この部分に触れた瞬間、映画を観ながらイメージしてたぬいぐるみの触り心地を思い出して、初めて映画と触覚が連動したと思った。映画が立体になった、そんな瞬間でもあったと思う。他にも依提亜さんのデザインするパンフレットは、映画を観たあとの感覚に奥行きをもたらしてくれるようなデザインばかりで(特に『窓辺にて』のパンフレットが素晴らしいんです…)リスペクトしかない。

・箇条書きにしては長すぎる ↑

・あと何かもうひとつくらい、めちゃくちゃ考えていた気がするんだけど忘れた。

・帰りに寄ったスーパーで重さのあるものをたくさん買った。オリーブオイル500mlと穀物酢500mlとオーツミルク1Lパック、詰め替え用のハンドソープなど。オーツミルクはよく売ってるやつとちょっとだけ高めのやつと2種類あって、迷ったけど添加物がより少なそうな高いやつにした。買い物を始める頃に聴きはじめた山下達郎のカセットテープ「FOR YOU」を、ちょうどスーパーから出る頃にB面まで聴き終えた。

・明日こそコーヒー豆を買いに行きたい。